商業施設のエントランスと共用部

何も起きない一日は、本当に「安全」なのか

ここは、
商業施設のエントランスと共用部での防滑工事の施工風景。

今日も人が行き交って、
買い物袋を下げた人も、
仕事帰りの人も、
特別なことは、たぶん何も起きない。

……たぶん、です。

正直に言うと、
何も起きない一日が、
必ずしも「うまく管理できた結果」とは限らない。
ただただ、そんな日もあります。

ほんとそうなんです。
何も対策していなければ
それはただの偶然Jでしかありません。

たまたま雨が降らなかった。
たまたま人の流れが穏やかだった。
たまたま、
事故につながる条件が重ならなかっただけ。

そんな偶然が、うまく重なった日。
それだけのことかもしれない。


でも、
何かが起きたときには、その逆で…
話はまったく変わります。

転倒事故や、
思わぬトラブル。

そこには、
必ず理由がある。

雨が降った。
床の状態。
清掃直後の濡れ。
人の動線。
履物の種類。
時間帯や混雑具合。

あとから振り返ると、
「ああ、そういえば…」
と思い当たることが、
いくつも出てくる。

だからこそ、
「今日は何も起きなかったから大丈夫」
その感覚だけには、
なりたくないんですよね。


ほんといつも思うのは、
施設管理の仕事って、
どうしても結果で語られがちです。

事故が起きなければ問題なし。
起きたら、原因究明と再発防止。
そこで今までの評価がなくなるなんてこともザラに起こります。

もちろん、それも大事。
でも、本当はそこだけじゃない。

・なぜ今日は何も起きなかったのか
・もし条件が変わったら、どうなるのか
・清掃後や雨の日、繁忙時間帯にリスクはないか

起きなかった理由を考えているか。
起きた場合を想像できているか。

そこにこそ、
管理者の仕事の価値がある。
僕は、そう思っています。


こちらの現場も、まさにそうでした。

営業が終わってから、
次の一日が始まるまでの限られた深夜の時間。

床を洗って、滑り止め工事を行う
朝には、
また何事もなかった顔で人を迎える。

派手じゃない。
目立たない。
でも、
もし失敗したら、
一瞬で空気が変わる場所。

商業施設のエントランスや共用部って、
そういう場所です。


だからこそ、
「滑らない」という対策は、
安心材料でも、
気休めの保険でもありません。

転倒事故につながる原因をひとつ、
先に消しておく作業。
そういうこと。

見た目は変わらない。
施設の雰囲気も変わらない。
ただ、
起こりうる未来のひとつが、
静かに消えていく。


もし今、

清掃後の床に、
ほんの一瞬でも引っかかる感覚があったり。

雨の日のエントランスが、
ふと頭をよぎったことがあるなら。

それは、
不安でも、過剰反応でもありません。

施設管理者として、
ちゃんと考えてくださっている証拠です。

何も起きない一日は、
偶然でも訪れる。

でも、
何かが起きない未来は、
考えた分だけ、近づいていく。

安心は作れる。

そんなことを、
寒空に寒床を踏みしめながら
ふと思ったりするわけです、はい。

「滑らない」を、未来の常識に。